ウイスキーとチョコレートのマリアージュ

 バーなど、ウイスキーを楽しむお店では、おつまみにチョコレートが用
 意されていることも多いようです。ウイスキーに甘いチョコなんて合う
 の? そう思いながら、ひとたび口にしてみて、その絶妙なマッチング
 を堪能したという経験がある方も多いことかと思います。


 チョコレートとウイスキーは、どうして相性が良いのでしょうか。
 ニッカウヰスキーの第2代マスターブレンダー・竹鶴 威 は、以前、コ
 ラム『ニッカウヰスキーと私』で、ウイスキーの香りと味わいによる
 “癒し”について次のように触れていました。

 
  「ここ数年、よく“癒し”という言葉を耳にするようになった。
   ウイスキーの色と香り、味わいは、まさに“癒し”をもたらし
   てくれると思う。樽の中で長い間熟成されたウイスキーには、
   樽材由来の香りが幾つも溶け込んでおり、特にバニラや熟した
   果実に似た香りは、ふっと心を安らかにしてくれる作用がある
   そうだ。」


 チョコレートも同じく、昔から香りと味わいで心身をリラックスさせる
 食べ物だと言われています。どうやら、相性の良さの理由はその辺りに
 ありそうです。


 たとえば、ファッションなどで、同系色の服が組み合わせやすいように、
 一般的に相性の良いもの同士には何らか共通点があります。ウイスキー
 とチョコレートの場合、それに当てはまるのが香りと味わいです。


 ウイスキーには、チョコレートに似た香り・余韻を感じさせるものがあ
 ります。これはウイスキーを樽で熟成させる過程で生まれると考えられ
 ています。そのひとつが、樽熟成の過程で生まれる、チョコレートにも
 共通するビター感。熟成において樽材から様々な成分が出ますが、その
 中にポリフェノールという成分があります。チョコレートにも多く含ま
 れるポリフェノールは、ウイスキーのビター感に少なからず関係する成
 分なのです。


 また、ビター感が生まれるのは、ウイスキーの原料である麦芽をピート
 (草炭)を燃やした薫煙で乾燥させることも理由のひとつといえます。


 味わいの共通点はビター感だけではありません。ウイスキーは、チョコ
 レートの甘さと共通する甘さ(ウイスキーの場合はバニラフレーバー)
 を感じさせるものがあります。甘さと苦さは相反するものですが、たと
 えば、人間関係やビジネスなどにおいて、まったく違った性格を持つも
 のであっても、互いに補い合うことができれば良好な関係が築けます。

 
 ともに、ビター感や甘さを合わせ持ち、複雑で絶妙な香りと味わいの調
 和を見せるウイスキーとチョコレート。このふたつが出会ったとき、理
 想の「マリアージュ(結婚)」が生まれると言えるでしょう。


ちなみに、今日は私の「マリアージュ(結婚)」記念日だったのでこんなことを書いてみました。