ウイスキーとチョコレートのマリアージュ

ウイスキーとチョコレートのマリアージュ <2>




ヨーロッパには「3C」と呼ばれる、大人のための3大嗜好品があります。 シガー(cigar)、コーヒー(coffee)、そしてチョコレート(chocolate)です。

これらの共通点は、ウイスキーと同じく、それぞれに違った香りや味を持つ種類があるというところ。チョコレートの場合、その違いの多くは、主に原料となるカカオ豆に由来します。

チョコレートやココアの主原料であるカカオ豆は、カカオの樹の果実の中に含まれている種子のこと。古くは薬として使われたり、貨幣の役割も果たすほど貴重なものとされていました。カカオ豆の味は、産地や樹の種類、その土地の気候や土壌によって異なり、このことがチョコレートの香りや味の違いに大きく影響しているのです。


熱帯植物であるカカオの産地とカカオ豆の品種は、一般的には次の3種に分類されます。

ひとつは、西アフリカ、ブラジル、マレーシアに産する「フォラテロ種」と呼ばれるカカオ豆。これはビター感や酸味が強く、チョコレートを作る際は主に“ベースビーンズ”として使用されます。

次に、ベネズエラやメキシコなどで栽培される「クリオロ種」と呼ばれるもの。この豆は、独特の香りを持つことから、“フレーバービーンズ”として使われることが多いようです。中でも、フルーティな香りで酸味が少なく、高品質のエクアドル産「アリバ」は、カカオナショナルと称されています。

さらに、ジャマイカパプアニューギニアなどでは、この2つの豆を交 配させたハイブリッド種の「トリニタリオ種」が生産され、良質なカカオ豆として有名です。

これらのカカオ豆は数種類がブレンドされ、ショコラティエ(チョコレート専門パティシエ)や菓子メーカー独自の味わいを持つチョコレートがつくられます。


さて、「ブレンド」という言葉を聞くとウイスキーが思い浮かびますね。

また、ウイスキーシングルモルトにも、力強い味わいを持つものがあったり、華やかでフルーティな香りを持つものがあったり。シングルモルトのそれぞれの個性をマリアージュ(結婚)させることによってブレンデッドウイスキーとして新たな個性や独自の味わいをかもし出します。単純に同じ関係と言うことはできませんが、ウイスキーとチョコレートが似ているという意味では、さほど違和感は感じないのではないのでしょうか。


人間関係のおいても、夫婦や恋人、友達やビジネスなどにおいて、まったく違った性格を持つものであっても、互いの個性を組み合わせることによって新たな個性や独自の味わいをかもし出します。



産地やブレンドによりさまざまな個性を持つチョコレートとウイスキー。その組み合わせ次第で、香りや味わいといったお互いの個性をより深く愉しむことができそうです